■4:沖縄には「ンブシー」という調理法がある 高橋貴子

■4:沖縄には「ンブシー」という調理法がある 高橋貴子

 

ゴーヤーを使った料理といえば、「ゴーヤーチャンプルー」が定番ですが、沖縄には「ゴーヤー ンブシー」という料理もあります。「ンブシー」とは、琉球料理の調理法で「味噌煮」のこと。

ゴーヤーと茹でた豚三枚肉を油で炒め、出汁を入れて煮た後、味噌を溶いて出来上がり。ゴーヤーの苦味と味噌のこってりした味が食欲を促進するので、夏にぴったりの料理です。

■3:宮古・八重山地方では「あの世の正月」という行事がある 高橋貴子

■3:宮古・八重山地方では「あの世の正月」という行事がある 高橋貴子

 

沖縄では先祖崇拝の思想が強いため、先祖を供養する行事を大切にします。

そのなかのひとつ、旧暦1月16日ジュウルクニチー(十六日祭)は「グソー(あの世)の正月」を意味するもので、とくに宮古八重山地方では盛大に墓前祭を行います。これらの行事の際は、豚三枚肉の煮つけや魚の天婦羅、揚げ豆腐など、沖縄独自の料理を重箱に詰めて用意します。

■2:沖縄県外に持ち出せない野菜がある 高橋貴子

■2:沖縄県外に持ち出せない野菜がある 高橋貴子

 

沖縄には、ゴーヤーやナーベーラー(へちま)など、古くから栽培されている伝統野菜、「島野菜」があります。これらは沖縄県内はもちろん、東京などにあるアンテナショップでも購入可能です。

しかし、紅イモ、ウンチェー(空芯菜)、カンダバー(サツマイモの一品種の葉と茎)の3つは加工品を除き、植物防疫法により、沖縄県外に持ち出すことができません。

琉球料理と沖縄料理は違う!沖縄についてあなたが知らない10の事実 高橋貴子

琉球料理と沖縄料理は違う!沖縄についてあなたが知らない10の事実 高橋貴子

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沖縄は日本でも有数の観光地。沖縄の魅力にとりつかれて、何度も訪れているという人も多いでしょう。

しかし、独自の文化を持つ沖縄にはあなたの知らないことがまだまだたくさんあるはず!

そこで今回はこれまで『サライ.jp』でお届けした鳥居美砂さんの【沖縄ぬちぐすい紀行】と、山本益博さんの【ひと皿の歳時記】の記事の中から、沖縄に関する雑学を集めてみました。

■1:琉球料理と沖縄料理は全く違う

琉球料理」は、沖縄独自の材料や調理法を使い、歴史的に受け継がれてきた料理のこと。

一方「沖縄料理」は、タコライスやポーク玉子など、戦後、アメリカの影響を受けて作られるようになった料理。食堂などで出されるチャンプルーの多くは、ポークランチョンミートが使われますが、琉球料理では茹でた豚三枚肉を使うそうです。

沖縄伝統の「島野菜」を使った手軽な琉球料理レシピ【沖縄ぬちぐすい紀行2】 高橋貴子

沖縄伝統の「島野菜」を使った手軽な琉球料理レシピ【沖縄ぬちぐすい紀行2】 高橋貴子

 

伝統野菜と聞いて、真っ先に思い浮かぶのは京都の「京野菜」ではないでしょうか。千枚漬けに使われる聖護院かぶ、満願寺とうがらし、九条ねぎなどはよく知られた京野菜の代表格です。そのほかにも、金沢「加賀野菜」、東京「江戸東京野菜」、大阪「なにわの伝統野菜」、奈良県「大和野菜」など伝統野菜は日本各地にあります。こうした、地元で古くから栽培されてきた野菜を守り伝えるという機運は全国に広がっています。

じつは、沖縄にも古くから栽培されている伝統野菜があるのをご存じですか。

沖縄県では、《健康長寿県として注目される沖縄において、戦前から導入され、伝統的に食されてきた地域固有の野菜》を「伝統的農産物」、別名「島野菜」と定義しています。

全部で28種類ある島野菜の中から、いくつか簡単にご紹介します。

ゴーヤー
(和名:にがうり、別名:つるれいし)・・・もはや全国区の野菜といっても過言ではありません。ゴーヤーには通常のものより丸みがあって色が薄い「アバシゴーヤー」という品種もあって、こちらは苦味がやわらかいのが特徴です。薄くスライスして水にさらせば、サラダでも食べられます。

リサイズ/写真1 ゴーヤー

ゴーヤー。

リサイズ/写真2 アバシゴーヤー

アバシゴーヤー。

ナーベーラー(和名:へちま)・・・ゴーヤーと並ぶ夏野菜の代表格。入浴で体を洗うためのスポンジ「へちま」の若い果実です。水分が多く、味噌煮(ンブシー)にしてよく食べます。

リサイズ/写真3 ナーベーラー

ナーベーラー。

カンダバー(和名:かずら)・・・サツマイモの一品種の葉と茎です。

クワンソウ
(和名:あきのわすれぐさ、別名:カンゾウ)・・・風邪薬や胃薬などに用いられる生薬の「甘草」とは別物です。沖縄では「ニーブイグサ」とも呼ばれ、これは「眠り草」の意味。睡眠障害に効果があり、サプリメントなども発売されています。

サクナ(和名:ぼたんぼうふう、別名:長命草)・・・葉を1枚食べれば、一日長く長生きするといわれる野草。サクナを使った飲料やタブレットなども発売されている注目の野菜です。

シマナー(和名:からしな)・・・塩漬けにすると「チキナー」と呼ばれます。

ハンダマ(和名:すいぜんじな、別名:金時草)・・・加賀野菜の金時草(きんじそう)と同じですが、原産地は熱帯アジアなので、南国沖縄のほうが気候的に合うのか、葉に厚みがあり、色が鮮やか。鉄分を多く含み、カロテンも豊富。沖縄では古くから、「血の薬」と呼ばれています。葉の赤紫色にはポリフェノールの一種、アントシアニンが含まれます。

リサイズ/写真4 ハンダマ

ハンダマ。

フーチバー(和名:にしよもぎ)・・・独特の香りがあり、菓子類や雑炊(ヤファラジューシー)のほか、山羊(ヒージャー)汁のニオイ消しに用いられます。食物繊維が豊富で、カリウム、鉄などに富んでいます。

リサイズ/写真5 フーチバー

フーチバー。

シカクマメ・・・うりずん(沖縄地方で初夏のこと、旧暦の2~3月頃)の季節に出回るので「うりずん豆」とも呼ばれます。

モーウイ(和名:赤毛瓜)・・・ウリ科のキュウリと同じ仲間です。

野菜パパイヤ(和名:パパイヤ)・・・沖縄では「パパヤー」と呼ぶほうが一般的です。ベトナム映画の「青いパパイヤの香り」を観たことがありますか。映画のワンシーンにあったように、青い状態のパパイヤを野菜として食べます。沖縄では千切りしたものを炒め煮にしたり(イリチー)、味噌煮(ンブシー)にします。

タイモ(和名:みずいも 沖縄方言名:ターンム)・・・沖縄の正月には欠かせないサトイモ科の野菜です。

島ラッキョウ・・・沖縄在来種のラッキョウで、エシャロットに近い味わい。独特の香りや辛みは泡盛にピッタリです。

リサイズ/写真6 島ラッキョウ

島ラッキョウ。

紅イモ(和名:さつまいも)・・・紅芋を使ったタルトなどのスイーツは、沖縄土産の定番になりました。

■県外に持ち出せない島野菜もある?

那覇市内の「牧志公設市場」や沖縄各地の道の駅などで、これらの野菜を見かけたことのある方もいらっしゃるでしょう。また、沖縄県物産公社が手がけるアンテナショップ『わしたショップ』(一部店舗は『わした』)は、東京・銀座をはじめ、仙台や名古屋などにもあり、季節の島野菜も並んでいます。

この『わしたショップ』に島野菜や沖縄産のフルーツ、真空パックした島豆腐などを届けているのが、沖縄の食材の仕入れ販売を手がける『翁屋』です。

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『翁屋』で取り扱う代表的な島野菜。手前右が野菜パパイヤ。

『翁屋』で出荷を取りまとめている翁長明生さんに話をうかがいました。

「とくに契約農家を決めないで、沖縄県中央卸市場で良質な野菜をセリ落としています。セリでは生産者の名前がわかるので、この野菜はこの農家さんとだいたいの見当はつけていますが、最終的にはこの目で野菜を確かめてから仕入れています。仕入れた野菜は日本各地に発送しなければならないのですが、一見すると新鮮そうでもすぐに味が落ちてしまう野菜もあるので、なにより質の見極めが肝心です。それを判断する目利きには自信をもってます」

『翁屋』の野菜は、空輸による鮮度の劣化も考慮しながら鮮度のいい野菜を仕入れているというわけです。取り寄せにも対応しています。

そんな翁長さんから、島野菜を購入する際の重要な注意点を教えてもらいました。

「島野菜の中には害虫を防ぐための植物防疫法により、沖縄県外に持ち出せないものがあります。紅イモ、ウンチェー(和名:ようさい、別名:空芯菜)、カンダバーの3つです。うちでも、この3種の野菜は取り扱っていません。ただし、紅イモは焼く、茹でるなどの加工してあるものは大丈夫です」

■島ニンジンとニガナの琉球料理2品

ここで、島野菜を使った料理を2品紹介しましょう。

料理を指導してくれたのは松本料理学院学院長の松本嘉代子さんです。松本料理学院では沖縄本来の伝統料理を学ぶ「琉球料理科」を設けていて、季節の島野菜を使った料理や行事料理などを教えています。

その琉球料理科のカリキュラムから、島ニンジン(沖縄方言名:チデークニ)を使った「チデークニーイリチー」と、ニガナ(沖縄方言名:ンジャナ、和名:ほそばわだん)の白和え「ンジャナバースーネー」のレシピを紹介します。

トリミング料理集合1

島ニンジン(沖縄方言名:チデークニ)を使った「チデークニイリチー」(右)と、ニガナの白和え「ンジャナバースーネー」(左)。

【チデークニイリチーの作り方】

島ニンジンの沖縄方言名「チデークニー」とは黄色い大根の意で、ゴボウのように細長い形をしています。収穫期は主に冬場なので、最近はこの島ニンジンと金美(きんび)ニンジンを掛け合わせた「島黄金(しまこがね)」という品種も出回っています。今回は、この島黄金を使いました。手に入らない場合は、一般の赤いニンジンでかまいません。

<材料/2〜3人分>
島黄金(ニンジン)/300g(通常の赤いニンジンでも可)
茹でた豚三枚肉(バラ肉)/40g
油/大さじ1
肉出汁/2分の1カップ(鰹出汁でも可)
塩/少々
醤油/少々

<作り方>

リサイズ手順1

①人参は皮をむいて斜め切りする。

risaizu 手順2

②塊のまま茹でておいた豚三枚肉を短冊に切る。

リサイズ手順3

③鍋に油を熱して(テフロン鍋の場合は、油は半量)豚三枚肉を入れ、脂が出てきたら人参を加えて炒め、全体に油がなじむまで炒める。

リサイズ手順4

④ ③に出汁を数回に分けて加え、蓋(ふた)をせず弱火でやらかくなるまで煮る。

リサイズ手順5

⑤ ④に塩、醤油で調味してなじませる。

リサイズ/チデークニイリチー1

「チデークニイリチー」のできあがり。島ニンジンの甘味と豚肉の旨味が調和した優しい味わい。

松本先生に、「チデークニイリチー」の調理ポイントをお聞きしました。

「料理名にある『イリチー』とは、根菜類や戻した乾物を炒めて出し汁を含ませながら、ゆっくり煮ていく料理法です。出し汁は一度に入れるのではなく、数回に分けて水分が減ったら加える、を繰り返します。火加減は弱火過ぎても人参が水っぽなるので、鍋の中身が動く程度の火力にしてください。こうして、歯ざわりを残しながら、しっとり仕上げるのです」

栄養学的な見地からは、「人参の脂溶性ビタミンに油が加わることで、栄養の吸収がよくなります」とのことです。出汁は、本来は肉出汁を用いますが、鰹出汁でかまいません。また、豚三枚肉(バラ肉)は時間があるときに塊を茹でておき、小分けにして冷凍し、料理ごとに解凍してから用いると便利です。

続いて、島野菜「ンジャナ」を使った料理です。

【ンジャナバースーネーの作り方】

ンジャナ(ニガナ)のバー(葉)を使った、スーネー(和え物)です。ニガナは琉球王朝時代から利用されてきた野菜です、その名の通り苦味が特徴で、カロテン、ビタミンC、カリウムなどが豊富。おもに白和え、魚汁、イカスミ汁などに使われます。

<材料/2人分>
ニガナ/5枚程度
塩/少々
豆腐/100g

<作り方>

リサイズ手順A

①ニガナは洗って葉柄(ようへい)を除き、4cmほどの長さの千切りにして水にさらす。

リサイズ手順B

②ニガナの水気を切ってボウルに入れ、薄塩をして豆腐をつぶしながら混ぜ込み、味をなじませればできあがり。

リサイズ/ンジャナバースーネー1

「ンジャナバースーネー」は、ほろ苦さが食欲をかき立てる。酒のつまみにも最適なひと品。

「ニガナやゴーヤーなど苦味のある野菜に豆腐と合わせると、苦味が緩和されます。今回は和え衣(材料と混ぜ合わせる調味料)を作らず、ニガナと豆腐を混ぜ込んで和えるだけの簡単な作り方をご紹介しました。缶詰のツナや白ゴマを入れても美味しいですよ」(松本先生)

沖縄の島豆腐には塩分があるので、一般の木綿豆腐を使う場合は塩加減を調整してください。また、豆腐の水気もしっかり切ってください。苦味が後を引く“大人の味”を楽しめます。

琉球料理は命の薬(ぬちぐすい)!キャベツを使った「タマナーチャンプルー」の作り方【沖縄ぬちぐすい紀行1】高橋貴子

琉球料理は命の薬(ぬちぐすい)!キャベツを使った「タマナーチャンプルー」の作り方【沖縄ぬちぐすい紀行1】高橋貴子

 

琉球料理は命の薬(ぬちぐすい)!キャベツを使った「タマナーチャンプルー」の作り方【沖縄ぬちぐすい紀行1】

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医療の発達などにより、日本人の平均寿命は年々のびています。世界保健機関が2015年5月に発表した「2015年版世界保険統計」によると、2013年の日本人の平気寿命は女性が86.61歳で世界1位、男性も80.21歳で世界4位、男女平均は84歳で世界でもっとも寿命の長い国になっています。

では、国内に目を向けてみるとどうでしょうか。現在は長野県、男女ともに1位となっていますが、かつては沖縄が長寿日本一の県として広く知られていました。

都道府県別平均寿命は、5年に一度の国勢調査の年に正確な順位が発表されますが、2000年の調査では沖縄県男性は26位。2010年には、女性も首位の座を明け渡して3位となり、男性は30位に。2015年の最新調査でも、同じ結果が出ています。

ところが、「主な年齢の平均余命」(2015年)になると、65歳の沖縄県男性は2位、75歳では堂々の全国1位です。つまり、沖縄県は平均寿命は他県に比べて短くなってはいますが、年齢の高い世代に限れば長生きしている人が多い、という結果が出ています。

こうした結果は、沖縄の食生活の変化によるものと考えられています。では、本来の沖縄の食文化とはどのようなものなのでしょうか?

■じつは全然違う!琉球料理と沖縄料理、長生きできるのはどっち?

沖縄の伝統料理を守り伝える研究家で、松本料理学院学院長の松本嘉代子さんに話をうかがいました。

「沖縄の伝統的な食文化では塩分の摂取量が少なく、豚肉や豆腐などのタンパク質をしっかり摂りながら、野菜や海藻もよく食べます。さらに、『医食同源』の考え方が根づいており、体によいものを食べようとする意識が強いのです。これが、本来の沖縄の食文化です」

しかし、戦後、アメリカによる統治下以降、食の欧米化が他県よりも進み、高カロリー・高脂肪の料理が普段の食卓に並ぶようになります。そうした食事を子供の頃から摂るようになった結果、肥満・生活習慣病に関連した糖尿病、心臓病、脳卒中などで亡くなる壮年が増えたました。その一方で、昔ながらの食生活を続けている人は、おばぁ、おじぃになっても元気な人が多いのです。

「お年寄りが食べてきた沖縄の伝統的な食事には、知恵が詰まっています。沖縄では、”ごちそうさまでした”を、”くすいないびたん”といいます。『薬になりました』という意味です。食べ物や料理は「ぬち(命)ぐすい」、つまり「命の薬」というわけです」(松本先生)

では、「ぬちぐすい」になる料理とはどんなものなのでしょうか? 松本先生はこう説明します。

「じつは、沖縄料理には大きく2種類ありましてね。ひとつは、沖縄独自の材料や調理法が歴史的に受け継がれてきた『琉球料理』と呼ばれるもの。もうひとつは、タコライスやポークランチョンミート(豚肉の加工品の缶詰)を使ったポーク玉子など、戦後、アメリカの影響を受けて作られるようになった『うちなー(沖縄)料理』です。『ぬちぐすい』となるのは前者、『琉球料理』です。この琉球料理こそが沖縄の伝統料理であり、沖縄の人々の健康長寿を支え続けていた”ぬちぐすい”なのです」

そんな、沖縄に暮らす人々の健康の源である「ぬちぐすい」の中から、今回、松本先生に琉球料理本来の「チャンプルー」の作り方を教えていただきました。家庭で簡単に作れるので、日々の食生活の改善や健康に役立ててみてください。

■豚肉は茹でることで脂質を半分に

「チャンプルー」とは、沖縄の言葉で「ごぢゃまぜ」の意味です。インドネシア語やマレー語の「チャンプール」に由来するともいわれています。松本先生の定義では、チャンプルー料理は「豆腐と季節の野菜の炒めもの」となります。今は肉類が入りますが、かつて豚肉が貴重だった時代は肉を使わず、ラードで炒めることで豚肉の風味を感じていました。

野菜は、春ならキャベツ(タマナー)、夏はゴーヤーに、そのほか、からし菜の漬け物(チキナー)、モヤシ(マーミナ)や島ラッキョウも使います。今回は、全国どこでも手に入るキャベツを使ったタマナーチャンプルーを紹介します。

「食堂や居酒屋で出されるチャンプルーの多くは、ポークランチョンミートが使われますが、琉球料理では茹でた豚三枚肉(バラ肉)を使います。ポークランチョンミートを入れるようになったのは、アメリカ統治下にその缶詰が大量に出回ったからです。ポイントは豚肉は茹でてから使うこと。これで脂質が約51%少なくなります。タンパク質はそのままで脂質は落とす。沖縄の人は豚肉の扱いに長けていますね」(松本先生)

【タマナーチャンプルーの作り方】

<材料/2~3人前>
・キャベツ/300g
・茹でた豚バラ肉/50g
・豆腐/250g
・油/大さじ1
・塩/小さじ1
・わけぎ(青ねぎ)/適量
・醤油/少々

<作り方>

リサイズ/1豆腐は手でちぎる

【手順1】豆腐の水気をキッチンペーパーでふき取ってから、ひと口サイズに手でちぎる。

リサイズ/2豆腐だけ先に焼き付ける

【手順2】油をひいた鍋で豆腐に焼きめをつけ、きつね色になったら取り出しておく。

リサイズ/3豚肉を炒めてキャペツを入れる

【手順3】少量の油を継ぎ足し、茹でてから短冊状に切った豚バラ肉を炒め、手でちぎったキャベツを加えて炒める。

リサイズ/4一度取り出しておいた豆腐を加える

【手順4】取り出しておいた豆腐を加え、塩で味付けする。削り節(削りたてのかつお節)を少量加えると香りがよくなる。

リサイズ/5鍋肌から醤油を入れる

【手順5】鍋肌から醤油を入れて味を整え、最後にわけぎを加えて余熱で火を通せば完成。

トリミング&リサイズ/タマナーチャンプルー完成1

完成したタマナーチャンプルー。低カロリーで健康に優れた、本来の琉球料理のひとつ。

チャンプルーには卵でとじるものもありますが、それはゴーヤーと島ラッキョウを使ったときのみです。苦みやクセを和らげるために卵でとじるのです。油は、ラードを用いるとコクが出て美味しいのですが、カロリーが高くなるのでサラダ油でかまいません。豆腐は、少し塩味がついている沖縄独自の島豆腐を使いますが、一般の木綿豆腐で代用してもかまいません。その際は、水分をよく切ってから使い、味見をして塩分が足りないと感じたときは調味料を加えてください。

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こちらはゴーヤーチャンプルー。ゴーヤーの苦味を和らげるために卵を使う。

「チャンプルーは、豆腐の植物性タンパク質と野菜のビタミン類が、ひと皿で摂れます。肉を入れることで動物性タンパク質も加わります。また、野菜は炒めるとカサが減るので量をたくさん食べられます。チャンプルーはじつに合理的で、栄養的にもすぐれた料理といえます。
ちなみに、最近の都道府県別の野菜摂取量では、沖縄県は下位なんです。それも意外に思われるでしょうが、女性のほうが男性より順位は低いのです。女性はサラダのように生の野菜を食べることが多く、たくさん食べたような気になっていても、実際のところはそれほど摂取できていないことが多いのです」

総務省統計局の(2013年~2015年平均)の家計調査では、都道府県別野菜摂取量の平均値は、沖縄県男性37位、同女性は44位。1位は男女ともに長野県です。

「長野県は、このところずっと長寿日本一ですが、かつては脳卒中の死亡率がトップクラスで、県をあげて沖縄の食文化を学びに来ていました。一方、沖縄はもはや長寿の島とは呼べなくなっています。今すぐ食生活を見直さねばという危機感を強く感じています」